【Report】VketReal 2026 Summer 現地リポート:「原点」に戻るVket、バーチャルとリアルの行く末

2026年7月25日(土)と7月26日(日)の2日間、東京都千代田区にある「ベルサール秋葉原」にて、「VketReal 2026 Summer」が開催されている。これは現在VR対応SNS「VRChat」で開催されているイベント「バーチャルマーケット」と連動したイベントであり、今年も夏の開催が決行されている。今回の記事では同イベントのレポートを中心に記載していこう。

パラリアルクリエイターエリアはまさかの「スムーズ進行」

 さて、VketRealといえば多くのクリエイターと交流出来る「パラリアルクリエイターエリア」が今年も設営されている。だがこのイベント、継続して参加しているユーザーであれば把握してはいるだろうが、今までかなりの批判に晒されてもいたのである。

 その理由は単純で、これまでパラリアルクリエイターエリアのキャパシティに対して参加者が圧倒的に多かったのである。夏にベルサール秋葉原の地下でパラリアルクリエイターエリアが設営された時は、地上出入り口付近まで長蛇の列が形成されており、炎天下であることも相まってかなりの修羅場と化していた。もちろん冬のVketRealでも同様の現象は発生しているが、かといってメイン会場に隣接する、規模の大きなスペースを備えた場所はそうそう無い。そのため「いかに参加者を捌き切るか」に注目が集まっていた。

 今回のパラリアルクリエイターエリアはベルサール秋葉原2Fのホールを借り切っての展示となっており、かつ「整理券式」を取り入れたことで大きく混雑が解消されたのである。筆者は整理券呼び出しから1時間以上後で会場入りしたが、初っ端から驚かされることとなった。あれだけ批判の的となっていた待機列自体が存在しなかったのである。

 会場前では整理券の呼出番号をコールするスタッフが居る上に、Discordやメール・SNSで整理券番号の呼び出し状況を通知するシステムが徹底して整備されていた。そのうえで会場の人流を考慮してか、会場内でもそこまで強烈に移動ができないという程ではなく、ある程度の余裕を持った会場内移動が行えたのである。

 これまで多くの参加者が詰めかけ、かつ人流の整理ができていなかった過去回と比べれば雲泥の差である。もちろん日曜日の人流次第である上に、混雑する時間か否かという要素はあるが、これだけスムーズに会場を回れたのは正直な所意外ですらあった。

VRでも射撃出来る射的屋和み

 会場内ではクリエイタースタジオである「QuickBrown」や、居酒屋系グループの居酒屋和みが運営する「射的屋和み」、VRChatの世界を「3Dで覗き込める」大小二つのディスプレイの展示など、リアルでの技術面、グッズ、イベントと相変わらずのユーザーフレンドリーな展示が見られた。また一般ブースの様相は以前にも増して同人即売会の様相を醸しており、少々デカめのオンリー系イベントといっても過言ではない規模である。

VRChat系展示の多い1Fフリーエリア

 今回1Fのフリーエリアでは、毎回恒例となる展示も見受けられた。まずは恒例のVRユーザーとゲームで競い合う「V決闘」だ。メイド喫茶『ぶいけっと喫茶』を舞台に、それぞれのペアが力を合わせてオムライスを用意しまくる内容である。リアル会場では息のあった掛け声でこれでもかとよそいまくる光景が見て取れた。

 他にもVRChatのユーザーとリアルユーザー同士で待ち合わせる「VR待ち合わせ」や、VR内に会場のボタン経由でクッキーを送り込む展示など、VRChatとのコネクションを上手く活かした展示が見られた。

 AMDなどのグラフィックボードを搭載した高性能PCによるVR体験コーナー、株式会社NuNuAIが手掛けるPC見積もり・販売サービスの「NuNuPC」、株式会社diVRseによる物販コーナーや株式会社ユニバーサルエンターテインメントによる実物のスロット展示などもあわせて行われていた。恒例の落書き、チェキ、物販コーナーにVRChat公式ブースの出展と、今年もブースに来場者が訪れる格好となっていた。

 さて、ここまで書いて以前のVketRealの記事などを読んだことのあるユーザーならば「おや?」と思った部分はあるはずだ。私見が大いに入ってしまう事をお断りしておくが、そこについて紐解いていこう。

VketとVketRealが「求められる役割」

 特に今回驚いたのは、VketRealのフリーエリアにおける企業展示の幅の狭さである。少なくとも2025年では大日本印刷やJRAといった企業や焼津市のような自治体の出展は見られており、また公式サイトのマップにブース名も書き込まれている状態であった。今回はそれが無く、別ページにアクセスするまでは、どういった企業が出展を行うのか不明な状況であった。

 また、以前は先述した焼津市やサントリーなど、必ずしもVRやPCといった領域に本腰を置く企業や団体でないところも展示を出しており、また公式側もVket Cloudを絡めたアプローチやお神輿、巨大ガチャなどを展示していた。これは筆者の私見だが「リアルでもある程度浸透する」見せ方を主軸としていたように思われる。だが今回、そういった大型コンテンツはV決闘のみとなっており、後は以前出展のあったドデカムーイ辺りが見た目のインパクトを与えるものと見ていい。

 つまるところ、今回のVketRealは、特にフリーエリアにおいて「とってもシンプル」になったのである。これもあくまで私見であるが、どちらかというとシンプルに“なってしまった”という状況に近いのかもしれない。

 オンラインにおける広告戦略を考えるうえで、必ずついて回るのはそのコンテンツに対する費用対効果の高さである。VRChatにおいてはコロナ禍やスタンミショックといった、いくつかユーザーが「跳ねる」流れがあり、ユーザーの定着率は割と高い状態で推移しているというのは「VRChat Japan Business Experience 2025 」で運営チームが述べている。このイベントへの企業出展の流れを見れば「企業は広告効果を感じられる材料は、VRChatにあるものだ」と認識していると見て良い。

 そのうえで今回のVketReal 2026 Summerでは大規模な展示はなりを潜めており、パラリアルクリエイターエリアの人流のスムーズさもあって「即売会やオンリーイベント然とした空気になっている」というのが筆者の感じた正直なところである。

 そしてこの潮目の変化は、VRChatを軸にした外部イベントに対して「誰を顧客に据えるビジョンでやっているのか」を明確に意識させるケースともなりそうである。つまるところ、企業や団体に対する積極的なアプローチを軸とする運営チームと、ユーザーサイドに寄り添うサードパーティ企業や有志団体という二極化が進むのではないだろうかという推測だ。

 現に今回のVketRealには今まで見られた企業の参加が控えられている状況だが、ユーザー側からこれに対する批判の声は聞こえて来ない。会場内でいくつか出展者に声掛けを行ったが、今回整理券方式を取りスムーズに入場が進んでいることに前向きな意見ばかりであった。確かにクリエイターとユーザーのリアルにおける交流が主目的で来る人間ばかりなら、そちらに注力した方が受けがいいのはいうまでもないだろう。

 身も蓋もない言い方をしてしまえば「企業は『VR系コンテンツを軸としたタイトルで展開する、サードパーティ企業のリアルイベント』に対してそこまで重きを置かなくなった」可能性が見え隠れする。もちろんこれは今冬のVketRealや来夏のVketReal、ひいては土台であるバーチャルマーケットにおける協賛事情を鑑みる必要はあるし、そもそも広告費を出せる余裕のある企業が減りつつある昨今、一朝一夕に答えを出せる内容ではない。

 いずれにせよ、今回のVketRealは今までとは大きく毛色の違うフリーエリアとなっている。これが今後どういう流れとなっていくのか、まだまだ目が離せない状況は続きそうだ。

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