今週、格闘ゲーム業界に二つのニュースが飛び込んできている。一つは先日からリリースしある程度の評価を得ている「MARVEL Tōkon: Fighting Souls(以下、マーベル:闘魂)」のユーザー数が伸び悩んでいる件。そしてもう一つが、ストラテジーゲームであるリーグ・オブ・レジェンドを題材とした格闘ゲーム「2XKO」の『積極的な開発の終了』だ。これら二つのニュースを拾いつつ、今後の格闘ゲーム業界の動向について見てみよう。
最適化不足か、DRMか、アンチチートか 錯綜する負荷の原因
Marvel作品としては新規格闘ゲームとして盛り上がっている「マーベル:闘魂」。8月6日にリリースされて以降、ジャパニメーション的な演出やキャラクターの挙動が高評価を得ており、ゲームの評価自体はそこまで悪くない状況に落ち着いている。最近ではやりたい放題のデッド・プールちゃん出ましたよね。ホント子安さん何でもやりますねマジで。
さてそんな同作は現状ある問題を抱えている。ゲームバランスについては格闘ゲームの宿痾とも言えるが、この問題はそれ以上にタチが悪い。ゲームに施されたDRM(デジタル著作権管理システム)やアンチチートシステムが、ゲームそのものの動作に大きく影響している可能性が出ているのだ。
あまり褒められた比較ではないが、有志により同ゲームのDRMとアンチチートシステムを取り除いたクラック版と、通常版との比較動画がX上にて公開されている。これが正しいものである場合、グラフィックのクオリティを上げたクラック版よりも正規版の方が要求される仕様が高く、また動作安定性が低いことがうかがえる。
もちろんゲームそのものの最適化が上手くなされていない可能性は無きにしもあらずだ。だが、根強い動作の不安定さに対する懸念から、同作のPC版はかなり評価が低めとなっている。非公式データベースサイトSteamDBによれば、本作のレビュー評価は47%の「賛否両論」。8月6日のリリース時点では2万人以上居たSteamからのユーザーも、現状4分の1程にまで減ってしまっている。この状況から大きく持ち直すには相当のテコ入れが必要となるだろうが、果たしてどれだけのユーザーがそれを待ち望んでくれるのか。その手腕が試されている状況だ。
開発終了と対戦格闘ゲームジャンルのレッドオーシャン化
より暗いニュースは「2XKO」の方にある。RIOT Gamesは「2XKOの積極的な開発を2026年12月に終了」と銘打ったリリースを2026年8月20日に発表した。これによると、「2026年以降もサーバーは稼働し、全プラットフォームにて引き続き2XKOをお楽しみいただけ」るとある。また2体の新チャンピオン(ラックス、サミーラ)が実装予定であり、12月に最後のバグ修正パッチが配信されるスケジュールとなっているようだ。

ただしその後の積極的アップデートは行われず、あくまでもオンライン対戦可能なサーバーの維持のみが行われると見られている。また、これまでロックされていたチャンピオンも含め「全チャンピオンを解除」するとのことだ。8月21日までの2XKOでの課金額を返金するとの発表もあり、今後の対応が待たれるところである。
実際に同作は競技シーンにおいて失敗していたのか、というとそこは少々疑問符が残る。オンラインチャートデータサイト「ESPORTS CHARTS」のデータでは、視聴者数に応じてタイトルをソートした場合、同作はいい位置についているのである。ピーク時視聴者数は221,997人となっており、鉄拳の 204,983人より多く、ストリートファイターともやや競り合えるレベルにまでは達している。
ではどこが悪かったのかといえば、やはりその賞金額だろう。現時点での大会による賞金総額は$469,827となっている。2025年一年間でのストリートファイターシリーズの大会賞金総額が$3,801,584となっており、これと比較するだけでも8倍以上の差がついてしまっている。
また大会の回数も今年は17回と、昨年の8回よりは多いがそれでもメジャータイトル級には届かない。特にこれから秋、冬と大会が多くなる時期だ。先述したストリートファイターでは現在14回だが、同タイトルは年末年始から3月に掛けての怒涛の大会ラッシュが待っている。そう考えると、2XKOの盛り上がり方はやや足りないように思えてしまう。
いずれにせよ、また一つ格闘ゲームタイトルが開発を止めることとなった。市場自体が飽和気味なのはどのゲームでも否めない傾向にはあるが、特にユーザーの腕前が問われやすいタイトルは新規タイトルの定着がなかなか難しいように感じられる。今後どういったタイトルが出てくるのか心待ちにしつつも、既存タイトルの長期安定化を祈りたいところである。
