2026年9月17日から20日まで、千葉県千葉市の展示会場である幕張メッセにて「東京ゲームショウ2026」が開催された。今回の記事ではゲームメーカーではなくそれを支える機器、SSDを生産する企業の市場感を特集する。
メモリ以上に人気が出つつあるSSD
キオクシア株式会社という名称をご存知だろうか。ある程度ハードウェアや記憶媒体に詳しい読者諸氏であれば「あの会社か」と思い当たることだろう。今もなお伸び続ける記憶媒体の雄が、今回東京ゲームショウ2026に出展を果たしているのである。

現在世界におけるゲーム市場の一角を占めている「PC向けゲーム」。そのPCの構成パーツとしていまや欠かせないのがSSD(ソリッドステートドライブ)である。従来用いられていたHDD(ハードディスクドライブ)に比べて大容量のデータの迅速な読み書きが可能となっており、現在ではSSDを搭載した上でPC上でゲームをプレイするのはほぼ「当たり前」の状態だ。
だがここ最近、PC向けのパーツは軒並み値段が高騰している。これまで10万円台前半で用意出来たエントリークラスの良品は、その価格がおおよそ倍にまで跳ね上がっている状況である。何故こうなっているのか、担当者に話を伺う事が出来た。
「おおよそ予想されている通り、AI分野の高い需要からメモリを中心にパーツの値段が急騰しています。現在生産のための半導体そのものが取り合いとなる程に需要が逼迫していて、特にメモリの不足は一般にも広く知られているまでに深刻です」
だが事ここに至り、需要の逼迫はSSDにまで及んでいるのだという。
「AIを利用する場合、メモリのような『一時的な記憶領域』のみならず、AI本体や付随する大規模なデータを読み込み、演算し、結果を出力する必要が出てきます。そうなるとメモリ以上に重要視されてくるのがSSDであり、こちらに関しても需要が逼迫しつつある状態です」
そのうえで一般向けとしては十分な製品を降ろすことが出来ない状況が続いており、そこに忸怩たる思いを滲ませてもいることを語って頂いた。

「我々はモノづくりを主力とするメーカーである以上、一般のお客様もユーザーであり需要家です。そこに製品が十分に届けられないのは悔しいですが、後2年ほどは少なくともこの状況は続くと見ています」
半導体は製造工程が複雑で材料の調達も手間とコストが掛かるため、それこそ「急に増やせない」タイプの材料である。メーカー側が急激な投資を行っても最終的な生産に至り、その上でコストを回収できるだけの目処が立たないとそもそも作れない――担当者の方からはメーカー側の苦しい立場も伺えた。

なお会場内には「第20回アジア競技大会(2026/愛知・名古屋)eスポーツ競技」仕様のPCを丸ごと再現した環境のマシンの試遊や、同社の「和」のカラーリングを追求したお洒落可愛いポータブルSSDなど、いろいろな方面へ製品の枝葉を伸ばす工夫が見え隠れしていた。

今後も多くのユーザーに向けて訴求力のある製品を提供したい、取材の最後にそう担当者の方は締めくくってくれた。
海外ではポータブルSSDに需要がある可能性
同じ領域で出展していた他企業として名前が確認できたのは「EAセミテックジャパン株式会社」だ。同社は中国に本社を置く「EA SEMI (SHANGHAI) TECH LIMITED」などが手掛ける半導体ストレージブランド「EASMT」を展開している。今回会場内の担当者に話を伺えたが、そこでも面白い内容を拝聴出来た。

「今回私たちのブースではメモリも展示しているのですが、これは以前細々とやっていた事業だったんです。折からのメモリ高騰と需要増加を迎えて、弊社ではこれを支えきれないものと判断しました。現在はSSDの生産に特化した事業を行っています。もちろん、高まるSSD需要にどこまで応えられるかは未知数ですが」
同社は小型のSSD「R101」をリリースしているが、512GB~2TBまでカバーするこのモデルは非常に人気が高いとの事である。
「他のメーカーさん同様、我々の製品でも人気なのは2TBのSSDです。また、ポータブルタイプも一定の需要が出つつあります。大容量のデータを取り扱う事業が増えているうえに、これを安全に物理的に移送出来るというのは大きなメリットですからね」

まだまだ需要が冷めやらぬSSD。次世代の記憶媒体が登場するか、AI需要が枯渇するか、生産体制が整うか。いずれにしても、消費者にとっては頭の痛い状況は継続しそうである。
