エースコンバット8が「100万本」到達 その裏で注目される「どんくさたぬき」な主人公レックス

 バンダイナムコエンターテインメントがリリースしているドラマチックフライトシューティングゲーム「ACE COMBAT 8:WINGS OF THEVE」。発売から1週間経った10月9日、XにおけるACE COMBATシリーズの公式アカウントより、発売本数が100万本を突破したとのPostが行われた。

 今回の発表によると「シリーズでは最速の100万本突破」とあり、正式リリース日より一週間での達成となる快挙である。非公式データベースサイトSteamDBでも、厳しく見積もって38万本程、最大見積もりが52万本と計測されている。なお当然ながら、PlayStationやXboxの本数は含めていない。PC版も含めて多大な需要があり、前作「7」が合計700万本を記録した成果に迫るのではと大きく期待されている。

 その一方で、発売直後から言われているのが主人公である「レックス」の「たぬきみたいなどんくささ」である。シリーズでも類を見ない絶望的戦局を覆したエースが、陸上ではまるで珍獣か置物みたいに扱われている可能性がファン間で話題となっているのだ。この記事ではそれについてシーンを追って検証してみよう。

 なおネタバレを多分に含むため、閲覧の際はご注意頂きたい。

シーンで振り返るレックスのどんくささ

序盤から目立つのんびりぶり

 さて本作は開始早々から主人公レックス、そして空軍の整備兵ジェンキンズが撃墜されたヘリを横目に救命ボートで漂っているシーンが存在する。この直後、レックスたちは救出され彼の身分がパイロットである事が明らかになる。明らかになるのだが、この時点で特定の機体に搭乗し逃げ出した後にベイルアウトした、という状況ではない。何らかの理由でヘリにジェンキンズと同乗し落とされるという、パイロットらしからぬスタートなのである。

 お次は空母エンデュランスの甲板に上がったシーン。仲間の一人であるターシャが、バスケットボールでドリブルをしておりそのままぶつかられてしまう。なお、出る際にレックスは左右確認をしていない。

 ホワイトバレー空軍基地を守りきった後にそこで発見できたMRE(戦闘糧食)。作中ではインタラクトしてこのMREの賞味期限を見る事が出来るが、おそらく作中シーンより2年ほど前に賞味期限が切れている。ホワイトバレー空軍基地が現実世界のどの辺りの食料事情を反映しているのかは不明だが、お世辞にも安全とも美味しいとは言えないコレを食べてレックスはジェンキンズともども腹を壊している。

 更には作戦前に起立するシーンでは、インタラクションのお陰で他キャラより動作が遅れたり、何なら立たなくてもそのまま進行するため、ターシャが怪訝な表情でレックスを見る様子がより引き立つ展開にすることも出来る。

 フォートグレイス基地へと立ち寄った際には、バクスターと共同で無人となった基地の散策にも繰り出す。その際も率先して先導したりせず、バクスターの後ろに控えている状態のため前に出てなんとかするという気概はなく、終始怖がっているような視点になっている。

中盤以降もどんくささが目立つレックスの足跡

 敵の策略により、空中給油機から機体が離れず炎上。あえなくベイルアウトした先は、USEAの中部にある都市「リオ・バホ」付近だった。そこでバクスター共々木立の上に落ちるのだが、バクスターは無事に着地。いっぽうのレックスは木にパラシュートないし身体が引っかかったのか降りれず、大人しくバクスターの救助を待つ事になる。

 そこから近隣の村を目指した彼らの背後に人影が。押し倒されるレックス、そしてその目線の先には牧童と羊。何を隠そう、後ろからの羊の体当たりで問答無用でレックスが倒されてしまったのである。そのまま牧童の少女ロシータが暮らす家へと彼らは案内されるのだが、ここに来て地上でレックスに土をつけたのが「羊」というシュールさと、一応人を倒せる羊の突進とはいえ接近に気付けず倒されてしまったレックスの行動力の低さがSNSで話題となった。羊だからって呪ったり電気を発したりはしない

 ロシータの家で服を着替え、様子を伺う彼らの元に、とんでもない人物が来訪する。ソトア空軍におけるエース部隊、通称シャドウズこと「ルクス・ルーナエ」指揮官のカミール・テュイ。そしてその片腕かつコープの仇の影22ことギリッシュ・トプラク。この二人があろうことか、レックスとバクスターが潜伏する牧童の家へ来てしまったのである。そのまま発電機の積み下ろしを手伝う事になり、その御礼に山羊乳の紅茶を一緒に飲むテュイ、トプラク、バクスター、レックス。この時、バクスターから促される形でレックスはあるものを隠す。レックスの足元からフライトスーツが見えており、これを調べられれば彼らがFCU空軍であることが露見してしまうのである。それを今更気づいたかのようにレックスは隠すのだった。

 なんとか無事に帰還した彼らを待っていたのは、よからぬ情報――すなわち、シーヴの翼であったコープがソトア人であり、FCU軍内のスパイかつソトア軍パイロットへの意図的な攻撃拒否を行っていたのではないかという疑惑だ。これによりフォートグレイス基地にいた反動勢力から、機体のロゴマーク、すなわち「シーヴの翼」は偽りだと言わんばかりにバツ印の落書きがされてしまう。その行為に不貞腐れてしまったのか、ブリーフィング直後のハンガーで乱雑にヘルメットを扱う程にメンタルが憔悴している様子が見える。

とっさの事態にも反応出来るかあやしいぼやぼやぶり

 極めつけは「これまでの作戦がソトア軍に筒抜けになっている」という状況に対する、ブリーフィング内の緊張感あふれるシーンだ。情報の出どころを絞り、その場にいる人物に副長であるパイクは銃を向ける。その後、レックスに銃を構えて短く「左に一歩」と彼女は発言。言うが早いか、レックスめがけて三発発砲。すんでのところで押し倒され銃撃を回避するレックス、その後ろの裏切り者は避けられずに銃弾を浴びる事となったのである。このシーン、インタラクションも何もないため本当にレックスは一歩も動けていない。首や身体を動かすことすら出来ずに棒立ちであった可能性が否定出来ないため、いよいよここにきて「本当に陸上で動ける存在なのか」と疑問を呈される事になったのである。

 そしてここまで陸上にていいところがあんまり無いレックスに付いたあだ名が「たぬレックス」。まるで日本のたぬきのような「どことなくどんくさい生き物」という評価が確定してしまったのである。空ではあんなに化け物な戦果挙げてるんですけれどね、この人

歴代主人公は強かったのか?

 さてここで気になるのは「レックスはそこまでどんくさいのか」という点である。エースコンバットシリーズはPS2版以降は地上の様子を映すシーンなども徐々に追加されており、また主人公の経歴からどういった人となりなのかをある程度知ることが出来る。一部過去作の主人公を振り返ってみよう。

 エースコンバット・ゼロ ザ・ベルカン・ウォーの主人公「サイファー」。円卓の鬼神として後年恐れられ、相棒である「片羽の妖精」ピクシーことラリー・フォルクの回想や他の関連人物のインタビューで語られる存在だ。彼はベルカの侵略の手が迫るウスティオにおいて、ヴァレー空軍基地にやってきた傭兵として登場。ベルカ戦争に大きな戦果を残した。傭兵というだけあって、海千山千の修羅場を抜けてきた人物であるのは疑いないだろう。

 エースコンバット5 ジ・アンサング・ウォーの主人公「ブレイズ」は、オーシアのサンド島所属のパイロットである。作中では割と新米である事が語られ、教官であるバートレット、同僚であるナガセ、チョッパー、そして後にグリムやスノーといった仲間たちと共に、オーシアとユークトバニアの両国に渦巻く全面戦争の陰謀を打ち砕いていく。作中では訳あって冤罪を吹っかけられた彼らが、サンド島基地から脱出する様子が描かれている。その際に他の仲間と共同で動けていることから、ある程度の白兵戦能力があるものと見なせるだろう。あるいは作中のナガセの格闘戦やサバイバビリティが異常なのか

 エースコンバット04 シャッタードスカイの主人公「メビウス1」については、TACネームこそ持たないものの固有の人物としてクローズアップされている。地上における様子は定かではないが、続編である「エースコンバット5」や「エースコンバット7」において断片的ながらも主役として登場を果たしている。彼の飛んだエースコンバット04が2003年から2005年頃、7のVRモードではIUN-PKF 国際停戦監視軍の元で反動勢力である「自由エルジア」との戦闘が2014年に行われているとされている。実に初飛行から少なくとも11年以上パイロットとして勤め上げており、そのエースぶりやフィジカルは疑うまでもないだろう。

 エースコンバット7 スカイズ・アンノウンの主人公「トリガー」は、作中序盤こそオーシア国防空軍所属の目立たないパイロットであった彼は、とあることからオーシア空軍第444航空基地飛行隊、通称「懲罰部隊」へと左遷。その後の功績から長距離戦略打撃群(通称:ロングレンジ部隊)に異動。正規軍への復帰を果たし、ストライダー隊1番機として無人機ひしめく空の戦局を切り開いていく。彼が懲罰部隊行きとなった際には「罪線」という独特のペイントが機体に施されているのだが、なんと正規軍復帰後もこれを機体のロゴマークとして爪痕のようにアレンジ。終戦後も恐らくエイブリルと共に飛行に興じている他、自身の愛車に三本線を堂々とペインティング。オーシア軍関係者が見ればゾッとするであろう事は間違いないこのマークを愛用していることから、ファンの間では「最もキレたらヤバい主人公なのでは」という見方すらされている。そこから肉付けされる形ではあるが、懲罰部隊での役務も含めてフィジカル面でも相当タフなことがうかがえる。やっぱり「大馬鹿野郎」って元々そういうあだ名だったんじゃないのトリガー君

 ここまで読んでもまだなお見えてこない、エースコンバット8の主人公のフィジカルの強さ。それを活かせる機会が今後現れてくるのだろうか。ACE COMBAT 8:WINGS OF THEVEは10月2日より各プラットフォーム向けで発売されている。

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