Team Group Incの一押しは「自爆スイッチ」 SSDを物理的にダメにする確かな実力

 2026年10月13日から16日まで、千葉県千葉市の展示会場「幕張メッセ」内にて、技術系の総合展示会である「CEATEC 2026」が開催された。本記事はその中でも特徴的なソリューションを取り扱うTeam Group Inc.の展示内容を取り上げる。

いざという時にはポチッと自爆

 今回同社のブース内で展示されていた製品の中に、ひときわ目立つものがあった。それはアクリルケースに入った基板であり、そこにSSDが搭載されている。そのケースの前にあるものはおおよそ展示会ではなかなか見ないものである。いわゆる「自爆ボタン」だ。

 もう一度記載する。自爆ボタンである。見た目が真っ赤で「押したらヤバい事になりますよ」と言わんばかりに主張を行っているボタンだ。

 これを展示しているのはTeam Group Inc.という企業。日本にはTEAMジャパンという支社を置く、台湾のPCパーツメーカーだ。自分でメモリを換装した経験のある読者の方ならば、比較的安価で性能の良いメモリブランドとしてTEAMのロゴ入りのものを見たことがあるだろう。

 そして同社は以前よりSSDの開発にも進出しており、今回展示されているのは同社の「P250Q-M80 M.2 PCIe SSD」と「T-CREATE EXPERT P35S」という2つの製品だ。前者は組み込み型のSSD、後者は持ち運びが出来るSSDであるのだが、この二者にはユニークな機能が備わっている。すなわち、「自己破壊」機能が搭載されているのだ。

 P250Qの方は先述した自爆ボタン、もとい消去スイッチを押すことで、「ハードウェアレベルの物理破壊(フラッシュICの直接破壊/過電圧などによるもの)」と「ソフトウェア的なクイック消去」を選択して行える。なお、この消去処理は途中で電源喪失により中断されても、再度通電された時点で消去が再開されるというおまけ付きだ。

 P35Sの方は、本体に上にスライドするスイッチが付属している。これを上に引き上げる事で、本体に赤色の表示が出現。この時点で内部のメモリは完全消去・破壊される仕組みだ。

 いずれにせよ、データ消去に対して並々ならぬ強固な処理を施すこのシステム。どういう用途に向けてのものなのかを伺ったところ、興味深い答えが帰ってきた。

データを消すという防衛手段

「昨今重要視されているものの一つに、サーバーやワークステーションといったものがあります。店舗の売上情報から国家機密まで、いまやあらゆる情報が記憶媒体に保存されているといっても過言ではありません。いわゆる貴金属を狙った窃盗とはワケが違うんです」

 確かにPCパーツ自体はレアメタルやレアアースが使用されているものの、それは極微量であり換金してもリスクに合う金額にはとても届かない。彼らが狙うのはその「中身」である。

「窃盗犯は盗んだディスクを修理屋に持ち込むんです。それも『壊れてしまっているかもしれないので、直してほしい』と無害な風を装って。その中に入っている情報をダークウェブで捌けば、それなりのカネにはなります。一般商店のワークステーションはもちろん、時には企業の機密情報が盗まれる事もあります。中には国際情勢に関わるような、漏れる事がハイリスクである情報が保存されている可能性があるのです」

 もちろんこういった窃盗犯向けの対策として、サーバーやマシンに異常があった際の通報や、施設のセキュリティ対策といった要素は存在する。それを受けてマシンを遠隔で止める手段もあるにはあるが、その多くは物理的破壊を伴うもので、マシンやサーバーラックそのものが破損するタイプのものだ。

「昨今この手のパーツも値上がりしていますから、『出来る限り破損させずかつ正確に情報を消す』というニーズが生まれているんです。そこでこの製品の、遠隔操作で中の情報を完全に破壊するというユニークさが生きてくるのです。据え付けの記憶媒体だけ交換して、後はそのままで利用出来るんですから」

 そしてブースを離れる前に、担当者はこんな一言を付け加えてきた。

「奥さんに浮気の証拠として据え付けのSSDを握られても、この機能さえあれば大丈夫ですよ!」

 実際のところ大丈夫かどうかは、読者の皆さんの判断におまかせしたい。

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